東京CDE・CDS Excellent Awards 2021受賞者を決定いたしました

厳正なる選考の結果、以下の通り最優秀賞及び優秀賞の受賞者を決定いたしましたのでお知らせいたします。
東京CDE・CDS Excellent Awards 2021にご応募いただいた皆様、どうもありがとうございました!

東京CDE・CDS Excellent Awards  

最優秀賞 岩本 友美 様

多職種と協同してシックデイ対策の療養指導を展開
今後も療養指導や患者へのヒアリングを継続してシックデイへの理解を広げていきたい
患者さんに配布したシックデイ対策用の資料

今年度開催されたスキルアップ研修会において、2021年8月に日本糖尿病協会から医療機関に向けて「今一度シックデイの対策を」という告知がされていることを知った。背景には、COVID-19に感染した糖尿病患者が糖尿病性ケトアシドーシスとなり亡くなったという事例があった。この研修内容を活かしたいと考え、私が勤務する天沼診療所(以下、当院)では、シックデイ療養指導を多職種にて展開したためその内容を報告する。
当院は高齢患者が多く、療養指導の内容をいかに分かりやすく端的に伝えるかが課題であった。当院の糖尿病外来に勤務する糖尿病専門医からもご意見をいただき、まずは体調不良時に当院へ気軽に連絡していただけることに重点を置き、患者配布用の資料を作成した。
次に、療養指導対象者を選定するため、当院から血糖降下薬やインスリンを処方している患者を事務職員の協力のもとでリストアップし、対象患者の来院時に看護師にて一人一人、配布資料を使用し療養指導を実施した。
療養指導と同時に、患者へのアンケートも実施した。その結果、約8割の患者がシックデイについての知識が乏しいことが分かった。また、シックデイについて知っている患者の情報源は、当院看護師や薬局からが主であることも分かった。このことから、患者にとって医療機関での療養指導がいかに重要であるかが浮き彫りとなった。この結果は、職員会議で全職員へ共有するとともに、近隣薬局の薬剤師にも情報連携を行い、薬局も患者のシックデイへの理解度を確認する場とした。
今回は医師、看護師、事務職員、薬剤師が協同し療養指導を展開できた。今後も療養指導や患者へのヒアリングを継続し、シックデイへの理解を広げていきたい。
 

優秀賞 橋本 真弓 様

「スティグマ」という概念をより深く知り、行動に移すことで患者様やスタッフに還元できたことが嬉しかったです

私は調剤薬局で薬剤師として勤務しています。昨年スキルアップ研修会を受講し「糖尿病のスティグマ」について学びました。スティグマを意識して服薬指導にあたった結果、行動変容・意識変容が見られた症例について報告致します。
60代女性、インスリン治療をしている2型糖尿病の患者様です。投薬のたびに「先生からまた食べすぎ、運動しろ と言われた」と話していました。毎回同じことを言われ、その言葉に慣れてしまっているご様子。まさにスティグマを付与されている状態です。
今一度、生活習慣について詳しく話を聞いてみると、頻回に低血糖を起こし過度の補食をしていたことが判明。インスリンの単位設定不備がコントロール不良の原因でした。「あなたは食事を食べすぎていたわけではない。インスリンの単位設定が適切でないために頻回に低血糖を起こしていた。さらに過度な補食のせいでコントロールがうまくいかなかったのかもしれない」とお伝えしたところ、患者様は「食事は大丈夫って言われてほっとした。先生に1日の血糖値の推移と食べたものについてきちんと話してみる」と笑顔で帰って行かれました。その後、食事療法・運動療法に意欲が出たようで薬局内で栄養士から栄養指導を受けていました。糖尿病治療に対して前向きになった様子が見られたのです。
この経験をもとに薬局内で「スティグマ」をテーマに勉強会を開きました。そこに参加したスタッフは皆「スティグマ」「アドボカシー」について認知していなかったのが現状です。薬剤師一人一人の気付き、意識改革でアドボカシー活動ができることをスタッフ皆と共有しました。
私自身、「スティグマ」という概念をより深く知ることで意識を変えることができました。さらに行動に移すことで患者様、薬局のスタッフに還元できたことが嬉しかったです。今後も患者様がより良い人生を歩んでいけるよう、日々精進していきたいと思います。
 

優秀賞 松田 直也 様

リハビリにおいて糖尿病チームとの連携により身体機能の改善が図れた事例
糖尿病教室の様子

私は総合病院で理学療法士として勤務している。2019年度から当院に糖尿病専門医が常勤となり糖尿病教室を開始した。個別リハビリの他に、チーム活動としてリハビリ体操を指導し、糖尿病チームに加わり資格も取得した。今回、急性期リハビリにおいてチーム連携により身体機能の改善が図れた患者さんについて紹介する。
70代男性の患者さんは、アテローム血栓性脳梗塞を発症し当院に救急入院した。背景に1型糖尿病があったが、入院時までに糖尿病性合併症は指摘されていない。病前生活は自立していた。入院時の状態は右弛緩性片麻痺と呂律不良があり、離床は全介助であった。血糖値不良と嚥下機能低下があり、持続経管栄養でゆっくり投与する手段となった。発症から1か月までの期間は麻痺の回復が最も期待できる期間とされ、理学療法の敢行が必要であった。
患者さんの運動意欲は高かった。そこでチームと相談し、運動時間帯を考慮したインスリン調整、介入に合わせ持続栄養を一時止めて頂き、日々の介入で10分ずつ離床時間を拡大し持久力の向上を図った。麻痺の改善には低負荷で行える電気物理療法を用いて徒手関節運動を図った。リハビリで参考としたことは、講習会での「運動は強度よりも頻度が大切」「1型糖尿病のインスリンは基礎分泌・追加分泌ともほとんど分泌されない」ということであった。自覚症状を訴えることができたため、検査値と自覚症状の両方でアセスメントを行った。2か月後の回復期病棟転棟時では杖歩行と経口食事及びインスリン自己管理ができるまでに改善した。
この患者さんを通して、急性期でリハビリの頻度をチームや病棟と協働して行えたことが、リハビリが前進した一因と感じた。また主疾患は脳梗塞であったが、血糖コントロールや栄養と運動とのバランスは、状態によって運動時間に合わせたインスリン処置の調整といった優先順位や許容範囲の検証も治療の分野では大切になると感じた。

▼推薦者の大谷 夏希 様による推薦コメント▼
チーム医療の力を大切に考え、患者さんの状態変化を適宜評価しながらリハビリを行っている
私は、応募者である松田と共に同施設で糖尿病療養指導に携わる理学療法士である。松田の活動やチーム連携が患者さんの身体機能改善に効果をもたらしていると感じており、以下に推薦理由を記す。
松田は当院の高度治療室を含む急性期病棟でのリハビリテーションを主に担当しつつ、急性期リハビリ部門の管理業務や糖尿病教室業務を担っており、当院の糖尿病チームに理学療法士として最初に参加したスタッフである。現在は松田や私を含め、3名の東京糖尿病療養指導士がチーム活動に参加している。
松田は多くの疾患への知識や他職種連携の経験を活かし、糖尿病治療でも重要なチーム医療の力を大切に考え、患者さんの状態変化を適宜評価しながらリハビリを行っている。患者さんに寄り添う姿勢は、例えば小児の患者さんであれば『楽しむ』リハビリをプランし、道具や器具を自身で作成しながら興味をもってもらえるよう日々工夫している。
以上のような日々の活動の一例を、この度の東京CDE・CDS Excellent Awardsに応募し現場活動を広く共有することで、今後の糖尿病療養指導への更なる発展の一躍を担えると考えたため、この度推薦をさせて頂く。
 

優秀賞 森 吉隆 様

東京CDE取得により糖尿病療養指導の重要性を更に強く実感できました

私は製薬企業に勤務しています。そのため、直接患者さんへ糖尿病療養指導を実践することは叶いません。ただ、東京糖尿病療養指導士の認定試験や研修を通じて、糖尿病療養指導に関わるメディカルスタッフの皆さんの役割や重要性、療養指導の際の患者さんへの接し方等を学ばせて頂きました。そしてこの経験が平素の活動で大変役立っています。
平素の活動として私は全国の糖尿病専門施設にお伺いしています。その際、名刺に記載した東京糖尿病療養指導士(東京CDE)資格や胸に付けた東京CDEの認定バッチから療養指導の話題になることをかなりの頻度で経験しています。少なくとも研修等で研鑽を積んでいることに対して共感頂いているのだと感じています。さらにスキルアップ研修会で学んだ知識が糖尿病専門医へのご提案に役立ったケースも経験しました。糖尿病治療にとって療養指導が重要な要素であることは認識していましたが、東京CDE取得によって更にその認識を強く実感することができました。そのため私は東京CDE資格の設立と自身が資格を取得できた事に感謝しています。
実は糖尿病療養指導士の資格取得を製薬企業勤務者にまで門戸を開いて頂いているCDE組織は全国ではあまりございません。そのような中、東京糖尿病療養指導士認定機構では、直接療養指導に関与しない者であっても、東京糖尿病療養指導士や東京糖尿病療養支援士の受験機会を与えて頂いています。また、更新研修会で最新の知識を補完できる上、資格更新も許されています。
以上の事実と経験より、糖尿病に関わられている医薬情報担当者等の製薬企業の皆様には、自己研鑽と糖尿病療養指導への理解を深める意味で東京CDEの研修参加や資格取得を検討されることをお勧めしたいと思います。
 

優秀賞 山本 直美 様

患者さんの状況を把握し、見極め、職種間支援のマネジメントをしていくことがソーシャルワーカーの役目

私は透析医療機関でソーシャルワーカーとして勤務しています。今回61歳男性で糖尿病性腎症により透析導入した方の事例を紹介します。
当院に長らく通院したのち、下肢壊疽が悪化して左膝下切断後、再び通院する事となりました。以前のADLとは異なり、さらに手指壊疽、視力低下が著明な状態でした。独居で家族は遠方の為、介護保険サービスをフルに活用する事となりました。ケアマネジャーを中心に訪問診療、看護、介護、入浴等が介入し、当院との連携が始まりました。私の役割は透析治療側と在宅側の橋渡しをする事と認識し実践しました。
まず取り入れたのは連絡ノートです。各事業所に記入してもらうことで経過の記録にもなり、正しく情報が伝わるツールとなりました。次に週間予定表を作成、連絡先をリスト化して透析室と共有しました。これにより生活状況の把握ができ、透析中の特変について直接確認や依頼する事ができました。例えば、中1日の体重増加は1.8kgが望ましい中、時々4㎏近くの増加がありました。原因を知るためヘルパーに食事や買い物の状況を確認、助言をし、配食弁当のメニューを見直しました。
また訪問看護や入浴に対しては、血糖コントロールに対しての服薬や創傷処置など医師の指示を迅速かつ具体的に伝えることができました。当院は多職種が在籍している為、透析や血糖管理に関する事は院長に指示を仰ぎ、処置や治療は看護師、食事や水分は管理栄養士、リハビリは理学療法士というように、状況に応じた専門的支援を実践できました。
今回感じたことは、患者さんが在宅生活を維持し通院を継続できたのは、医療と介護の多職種連携の賜物だということです。そして、患者さんの状況を把握し、見極め、職種間支援のマネジメントをしていくことがソーシャルワーカーの役目であると思います。そのことを認識し、当院での自身の役割とは何かを知ることができた、心に残る事例となりました。