東京CDE・CDS Excellent Awards 2022 受賞者を決定いたしました!

厳正なる選考の結果、以下の通り最優秀賞及び優秀賞の受賞者を決定いたしましたのでお知らせいたします。
東京CDE・CDS Excellent Awards 2022にご応募いただいた皆様、どうもありがとうございました!

東京CDE・CDS Excellent Awards  

最優秀賞 杉谷 麻里 様

「私、死んじゃうよね?」臨床心理士は患者さんの不安や悩み、心配事を傾聴して受け止め、医療スタッフや家族との橋渡しをすることが得意な職種かもしれません

私は総合病院で臨床心理士(以下、心理士)として働いていて、糖尿病の患者さんに携わる機会があります。また、以前から関心を寄せていた糖尿病の勉強を本格的にしたいと思っていたところ、東京CDSでは心理士にも受講と受験の門戸を開いていることを知りました。心理士が東京CDSを取得することで、携わる患者さんに「糖尿病に理解がある」ことが伝わり、安心感を高めてもらえることに繋がると考え、東京CDSを取得しました。
東京CDSの取得から間もなくして、印象的な患者さんとの出会いがありました。その方は、糖尿病と診断されて間もない患者さんでした。ある日のこと、患者さんから不安の訴えが増えているとの理由で心理士の介入が始まりました。病室で周りに誰もいなくなった時、患者さんが「私、死んじゃうよね?」と深刻な表情で私に尋ねてきました。患者さんは、以前から糖尿病になるとすぐに死んでしまうと思っていたこと、退院後の生活や仕事、家族の糖尿病に対する受け止め方など、様々な不安や心配事を語りました。私は患者さんが内に秘めてこられた不安に共感と労いの気持ちを伝え、その後は患者さんの不安を一緒に整理していきました。また、主治医や看護師をはじめとする他職種から、糖尿病の正しい知識と情報を伝え続けてもらったことで、患者さんは糖尿病の理解を深めることができました。
今回ご紹介した患者さんのように、糖尿病の診断がされたことで絶望的な気持ちになる人は少なからずいます。心理士は、患者さんの悩みや心配事を傾聴して受け止めることのほか、患者さんの性格傾向や物事のとらえ方の特徴を見い出すことや、患者さんと医療スタッフ、家族の橋渡しをすることが得意な職種かもしれません。
今後は東京CDSを取得する心理士の仲間がさらに増えることを願い、心理士も糖尿病の患者さんや家族の役に立てるよう、他職種と連携を図っていきたいと思います。

受賞者コメント

この度は東京CDE・CDS Excellent Awards 2022最優秀賞という栄誉ある賞を受賞し、誠に光栄に思います。
糖尿病の治療には、さまざまな職種が携わっていることを知っていただきたい思いがあり応募しました。
今回の受賞は、患者さんやご家族の力になりたいという私の希望を支えてくれた同僚のおかげです。
また、糖尿病の治療における心理師に対する期待も込められていると思います。
今後も同僚と協力しながら、日々出会う患者さんやご家族と向き合っていきたいです。
ありがとうございました。

優秀賞 中尾 麻里絵 様

糖尿病と歯周病の関係性を説明し、行動変容が見られた事例
患者様のお口から健康に繋げられるようにこれからもサポートをしていきたい

私は歯科医院で歯科衛生士として勤務している。糖尿病の合併症の一つとして歯周病があることは、一般の方にも認知されるようになったが、まだ口腔疾患と全身疾患とは区別されがちである。歯周病は軽視できる病気ではない。
歯周病は歯周病菌によって歯周組織を破壊し、歯茎や血管の中に入り込み炎症性サイトカインとなって全身に回る感染症である。この歯周病菌による炎症性サイトカインは、インスリンの効きを悪くする作用を持っており、全身に悪影響を及ぼす。
口腔内を清潔に保つ事は全身の健康に重要である。糖尿病と歯周病の関係性を説明し、行動変容が見られた事例を紹介する。
55歳女性。他医院で歯周病の治療を行なっていたが、初診時は出血も多く、安定していない状態にあった。一先ず、歯周病の治療から始めることになった。ご自身の健康に対する意識は高く、歯磨きの行い方を見直し、補助的清掃用具を使用し熱心に取り組まれている。日々の運動や食事管理も真面目に取り組まれており、とても良く管理されるようになった。
74歳女性。悪い所を指摘されるととても嫌な気持ちになるとおっしゃっていたが、丁寧に説明すると、良く理解をされた。歯周病が進行している事や、糖尿病も関係がある事には驚いたそう。ご自宅に歯間ブラシなどがあったので探して使ってみるとの事。
口腔管理は少しずつできているが、糖尿病の検査数値が良くない自覚はある。運動をして甘いものを制限しないといけない事は理解しているが、家にいることが多く、食べてしまう。無理のない範囲での運動と、甘いものは食べる前に歯磨きなどを行い、気分を変えると良いというお話をした。コミュニケーションを重視し、現在は積極的に悪い部分がないかお聞きになる。
口腔内の環境の他に、よく噛めるように機能を改善させることで、糖尿病の食事管理につながる。東京CDS認定者として、患者様のお口から健康に繋げられるようにこれからもサポートをしていきたい。

受賞者コメント

この度は、東京CDE・CDS Excellent Awards 2022にて優秀賞に選出して頂き、ありがとうございます。
歯科衛生士は患者様とコミュニケーションを取る機会が多いため、患者様の疾患や、悩み事などを共有し、一緒に考えながらサポートを行っています。
糖尿病と歯周病は切り離せない関係を持っているため、糖尿病の知識を持つ事は重要です。
今回、賞を頂けたことにより歯科衛生士がCDS認定に挑戦される方が増えれば幸いです。
お口の健康は全身の健康へ繋がっています。
これからも東京CDS認定者として、日々研鑽を積み、患者様のサポートをして行きたいと思います。